いつものように、健診のお仕事をしていたら、「先生、手が黄色くなってきたんです」というお話をされるお客様がいました。これは、なぜだったのでしょうか?
今回は題してお仕事中の質問シリーズ(仮)です。
人参を毎日3本食べていたら、手が黄色くなったんです
とあるお客様。いつものように、私が「体調で気になることはないですか?」と聞くと、
「実は●ヶ月前から、手だけが黄色くなってきたんです。」と。
確かに、手のひらと、少し足の裏が黄色に・・・。
目の結膜は黄色くなっていませんでした(黄染(おうせん))は認めませんでした)。
私は、「最近、みかん🍊とか、人参とか毎日食べたりしましたか?」と尋ねました。
私の頭のなかには、ある病名(病名というべきか・・・)が浮かんでいました。
それは、カロチン血症/柑皮症(かんぴしょう)です。
カロチン血症/柑皮症(かんぴしょう)とは、血中にカロチノイドという物質が増えて、手のひらや足の裏が黄色く見える状況です。
以前は、みかんをたくさん食べる冬期に多かったようですが、現在ではニンジンジュースなどを1年中飲めたりするようになったので、季節を問わず見受けられるようになったそうです。
このお客さんの場合は?
この方の場合は、●ヶ月前から、お酒のおつまみにニンジンを1日3本食べていたそうです。
おそらくは、このエピソードにより、β-カロテン(carotene)を多量に含む食物の過剰摂取となり、手や足が黄色くなったのだと思われます。
おそらくは、しばらくニンジンなど色の濃い野菜やみかんなどは控えるようにすれば、次第に黄色みはひいていくものと思われました。
注意すべき点は
ただし、高脂血症、甲状腺機能低下症、腎疾患、糖尿病などではβ-カロテンの代謝異常が生じ、血中濃度が高まるため、カロチン血症を生じる可能性があるので、背景にそういった疾患が隠れていないか注意する必要があります。
また、目の白目(眼球結膜)が黄色くなっているときは、「黄疸」という病態を考える必要があります。
まとめ
今回は、お仕事中に受けた質問でした。教科書的には知っていたカロチン血症でしたが、初めてみたときはやはり「黄色い」という印象でした。
この記事がお役に立てば幸いです(*^^*)
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