健診のお仕事をしていると、いろいろな質問をされます。

お客様
先生、私は子宮頸がんのワクチンの定期接種対象年齢ではないのですが、
ワクチンは打てるのでしょうか?
今回は、この質問に対してまとめてみました。
- 国の推奨する小6〜高2までを過ぎても接種できるのか知りたい女性
- ワクチンを打つ前に、HPV抗体を測る必要があるかどうか知りたい人
なお、HPVワクチンに関わらず、ワクチンについては宗教上の理由・副反応報告などから「打たない」という人がいらっしゃると思います。この記事は、そういった人たちを批判する趣旨で書かれたものではありませんので、予めご注意ください。
はじめに
そもそも、HPVってなんでしょう?
HPVとは、ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virusの略)です。
これは、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。
HPVワクチンとは?子宮頸がんワクチンと同じもの?
HPVには複数の型があります。この中で、がんとの関係が最も深いのがHPV16型、18型であり、HPVワクチンはこの16型と18型の感染を予防できるワクチンです。子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐことができるとされています。
参考URL:厚生労働省ホームページ、日本婦人科腫瘍学会HP
日本ではHPVワクチンという言葉はほぼ子宮頸がんワクチンと同様に使われていますが、実は子宮頸がんにとどまらず、他のがんも予防できるものになります。
HPVワクチンの種類は?
現在、日本には以下の3種類のHPVワクチンがあります。
- 2価ワクチン(サーバリックス)…HPV16型、18型に対して感染予防効果がある
- 4価ワクチン(ガーダシル)…HPV16型、18型と、性感染症の尖圭コンジローマの原因であるHPV6型、11型に対して感染予防効果がある
- 9価ワクチン(シルガード9)…4価ワクチンに加えてがんと関係する5種類のHPVに対する感染予防効果がある

つまり、価というのは、いくつの型に対して感染予防効果があるかということを示しています。
このうち、サーバリックスと、ガーダシルについては、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に定期接種が行われています。一方、9価ワクチンは現時点では定期接種の対象とはなっていません(希望者は自費で注射を打つことになります)。
なぜ、日本では小学校6年〜高校1年相当の女子が対象なのでしょう?
HPVワクチンは、感染を受ける前、つまり性交渉で感染を受ける前に接種しなければ意味がないからです。子宮頸がんを引き起こすHPVは性交渉(セックス)によって女性の子宮頸部まで入ってきます。初回性交渉の前にHPVワクチンの接種を受けることで、感染予防ができるという報告があります。
また、12~16歳で接種を受けると、26~30歳まではワクチンの効果が持続すると考えられるため、この年齢を対象に定期接種が行われています。
「積極的な」受診勧奨は控えられてきた?
平成25(2013)年4月にHPVワクチンは定期接種化されました。しかし、疼痛又は運動障害を中心とした多様な症状が報告され、マスコミ等で多く報道されました。それを受け、平成25年6月、厚生労働省の通知により、HPVワクチンの積極的勧奨を差し控える(ワクチン接種をお勧めしない)ことになりました。
平成25(2013)年4月にHPVワクチンが定期接種化されてから、接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛等が報告されました。これを受けて、HPVワクチンの副反応について、平成25(2013)年6月14日に開催された専門家の会議において、これまでに収集された医学的情報をもとに分析・評価され、ワクチン接種の効果と比較した上で、定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。その会議では、接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛の副反応症例等について十分に情報提供できない状況にあることから、接種希望者の接種機会は確保しつつ、適切な情報提供ができるまでの間は、積極的な勧奨を一時的に差し控えるべきとされました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html
その後、HPVワクチンの有効性と安全性が証明されたこと、接種体制の整備が行われたことから、令和3(2021)年11月12日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、この平成25年の勧奨差し控えの通知を「終了させる」ことが決定されました。そして、HPVワクチン接種後の症状に苦しむ人には支援を続けながら、令和4年度より厚生労働省として積極的な接種勧奨を再開することになりました。

そして、HPVワクチンの接種を逃した方のための接種(キャッチアップ接種)が行われています。対象年齢は平成9年度~平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)(※)の女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方が対象となります。
対象年齢を過ぎても、接種はできる?
果たして、定期接種の対象年齢を超えての接種はできるのでしょうか。
答えは、できます。先程述べたように、本来受けられたはずの人(2022年時点で、16〜25才)は「キャッチアップ接種」として定期接種が受けられます。
26才以上の人も、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。ただし、この場合、予防接種法に基づく定期接種(公費での接種)の対象ではないため、接種費用は全額自己負担となります。
クリニック・病院ごとに差はありますが、1回あたり約1万5千円~2万円が相場のようです。すると3回接種すると、4万5千円〜6万円と、高額になります。
自費で受けられるとして、その効果はあるかということについて、国ごとに若干年齢は異なりますが、海外の報告では、45歳までの接種はHPVワクチンの効果が認められており、アメリカでは女性に対して26歳までの接種を推奨しています。
結局のところは・・・
CDCの文言には、「どんな年齢でも、新しいセックスパートナーを持つことは、新しいHPV感染症にかかる危険因子です。長期的で相互に一夫一婦制の関係にある人々は、新たなHPV感染症にかかる可能性は低いです。」とありますので、自分自身の環境を顧みて、決めていくのがよいのかもしれません。
ワクチン接種前にHPV検査をしないといけないの?
答えは、測らなくても良いです。
HPV検査が陰性だった場合、高リスクHPVに感染していない状態であるか、感染しているがウイルス増殖を抑えている(潜伏)状態であるのか区別できませんので、結局はワクチンを打つか打たないかの決め手にならないからです。
おまけ
筆者はどうする予定か
自分に対して
さて、私はどうするかというと、いまのところ、「がん検診を2年に1回(あるいは1年に1回)受けるが、HPVワクチンは打たない」ということにしています。
HPVワクチンは、予防にはなっても治療にはなりませんので(*^^*)
この先、パートナーはおそらく変わらないので、特に新たな感染を受ける機会も無いと思います。
子どもたち(小学1年生男児、年中女児)に対して
女児の方には、対象年齢になればワクチンを打つかどうかというところです。
もちろん、本人の意思決定権がありますので、メリットやリスクを説明し、本人の納得の行く選択をさせてあげようと思います。
男児の方は、、、迷いますね。海外では、男性に対しても肛門管がんや中咽頭がん(←喉の奥の方のがん)に対して予防効果があるとして、定期接種になっているところもありますが。
まだ対象年齢になるまでに時間があるので、ゆっくりと考えようと思います(*^^*)
ではでは、長くなりましたがお読みいただきありがとうございました★
お役に立てれば嬉しいです〜
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